~三目 師匠と衝突、そして大師匠の格言~

 

なにはともあれ、
ハウツー本にしたがって鎖編みから始めましたが、
僕がお店で欲しいと思ったニットタイの編み目は
キッチリきつきつに編まれていて
ぎゅっとなっていたので、
僕も記憶を辿りながら
ぎゅっと編んでいきました。

それから、通常糸玉のパッケージには
ゲージ表示が記載してあって
何目編めば何センチになるかが書いてあります。
僕の場合はネクタイなので幅はいらず、
とりあえず表示にしたがって13目と決めました。

それでまぁ、鎖編みからぎゅっぎゅっと、
いち、にい、さんしい、と数えていって
13目までやりました。
そこで妻に見てもらいながら折り返しを、
これも基礎の編み方『細編み』というやつで
攻めようと思いました。

ところが、どこが糸と糸の境なのか分かりません!
なんで!?本と違う!
なんとか自分の目をマクロレンズに変えて
判別は出来たんですが、
今度はその隙間にかぎ針が入っていきません!なぬー!

妻に言われます。
「こんなにぎゅうぎゅうに編んだら
はりがはいっていくわけねーだろーがー!」

僕はお店で見た印象に近づけたい旨を説明しますが
鼻で笑われます。
あーそっかそっか。そりゃそうです。
こっちは素人も素人、
それも今日から素人の人間が、
お店と同じものなんか作れる訳がないのです。

練習にと買った糸もたいしたものでもないのですが、
とにかくふわっとやれ、そして練習の練習用に、
家にある余った糸で2~3日やれと言われます。

上から目線で腹が立ちますが、
こんなに自分は不器用だったのか
と思うぐらい上手くいきません。
鎖編みで13、
そのあと折り返して細編みで1、、、2あれ?
13じゃない。
あーそかそか、一つ目は数えないんだなきっと、、
そしてまた折り返して1、2、3、、
1、、1であれ、どんどん減っていく。

なぜ。

妻に聞いてみても、
「飛ばしてるんだよどこかで」
「いや、飛ばしてない」
「飛ばしてるの!」
らちがあかない。
ハウツー本も糸が規則正しく書かれていて、
自分の手元の不規則な糸の固まりと全く違い
どこが悪いのか全然分からない。

そうして3段編んではやめる、
そしてそのまままた一から編み出して
3段でやめるといった
不思議な物体が出来ていきました。

うちに一緒に住んでいる義父が、
「そうやって作っては壊し
作っては壊しを繰り返して上手くなるんだ。」
と何にでも使える格言みたいな発言をするので、
「出来る側の人!?なんで大師匠みたい!?」
と心の中でつぶやきながらひたすら
ゴミみたいのを作り続けるのでした。

[ヤッホーサイクリング 宗村] 

(続きます)

13/04/07