トンネル

ふるさとから東京に戻る時、
ほくほく線というローカル線に乗って
新幹線に乗り継ぐために
トンネルを抜けます。

電波も通じないトンネルで
数分間真っ暗闇が続きます。

窓には自分だけが映しだされて
数分間自分の顔を見つめます。

自分の顔と数分間向き合うのって
男の子の場合、
朝の鼻毛チェックくらいで
自画像を描くでもなければ、
そんなに機会は多くありません。

このトンネルを抜けるまでの間、
僕はこれまでも、
何度も自分の顔を見ては、
初めてこのトンネルを抜けて
上京した時のことを思い出します。

そして、何も知らない、
何もできないクセに、
これといった目標があるわけでなく、
ここではないどこかを求めていた
あの頃の僕が、
トンネルを越えようとする度に
そのまま映し出されます。

基本的に僕は何も変わってない。
大した人間ではないし、
誇れるものはとくにない。

トンネルを越える前の
ふるさとで見て、触れた
そこで暮らす人たちから、
自分の存在の小ささを
いつも感じさせられるのです。

それでも、トンネルの向こうには
今では、我が家があり、
家族があり、仕事があり、
バンド仲間もいます。

あの頃の、
トンネルの中での窓に
映し出された僕からみたら、
想像もできなかった
暮らしがあります。

綺麗な言葉でいえば
奇跡のような、
その場その場で
取り繕ったような。

そんなことを
トンネルの中で
考えさせられました。

トンネルの向こう側にきて
また日常が始まると、
今度はAIの存在が、
自分の力の無さを
感じさせてくれます。

自分は何もできないけれど、
できるようになった気になる。

ふるさとまでも、
新幹線に乗れば
3時間ほどで移動できます。

僕は、今朝、
30分かけて歩いて
ひばりヶ丘のスタジオに入り、
ピアノの朝練をしてきました。

今日も来てくれてありがとうございます。昨日はピーくんと二人で夕飯にラーメンを食べに行きました。ピーくんにとって僕は父親なのですから、もう少し、父親らしく振る舞わないと、と思わされます。が、それくらい、子供たちはすごいです。子供達から学ぶことも多いです。

26/10/12