~森の生活~

 

「忙しい、忙しい」と言いながら、
眠い目をこすっていると
ラジオから、くるりの「東京」が流れてきました。

僕はラジオに耳を傾けながら
上京したばかりの頃を思い出しました。

初めての一人暮らし。
新聞の勧誘や
NHKの受信料の請求、
1Kの部屋にひとり、
寝付けないときの朝がくるまでの恐怖。

初めてのアルバイト。
インターネットも普及していない時代だったので、
履歴書の書き方も知らず、
ただ一生懸命与えられたことをやるしかない状況の中で
初めて稼いだ給料。

初めての夜遊び。
本当にこんな地下室に
音楽を楽しむ空間があるのか不安だったけれど、
もしかしたら怖いお兄さんかもしれない人たちと
一緒になって音楽でダンスする喜び。

僕が上京したばかりの頃の東京は
知らないことに溢れていて
まるで海外旅行にでもきたような気分でした。

今の時代で例えるなら、
電気の通っていない森の中へ放り出されるのと
似ているのかもしれません。

その視点で東京と向き合うと、
東京が森に見えてくるんです。

自転車に乗って、夜の世田谷で迷子になったとき、
街の光を目印に進んだり、
暑い日は神社や公園に立ち寄ったり、
寒い日はももひきをはいたり。

自分なりの工夫で東京を生きる姿は
まるでアドベンチャーのようです。

そしてその主人公は自分であること。
僕はこの話をもっと上手に
相手に伝えられるようになりたい。

そう思うようになった僕が図書館で出会った本。
アースデーで出店していた本屋さんでも
一押しとして紹介されていた本。

   森の生活
   H.D.ソロー ヘンリーデイビッドソロー

ちょうど忙しい時期に読んだので
なおさら心に沁みた本でした。

けど、冒頭以外は実体験の話が多いので、
実際に経験してみないとわからないので
しっくりこなかったです。

今回の心踊るヒット賞は、冒頭で書かれていたこと、

   本書とほかの書物とのおもなちがい
   たいていの書物では、一人称の私は省略される。
   本書ではずっと使われることになるだろう。
   私に固執するところが、本書とほかの書物との
   おもなちがいである。
   話しているのはいつでも一人称の自分だということを、
   われわれはとかく忘れがちである。

でした。

みんながみんなの想いや言葉で
アウトプットできたらとてもステキだと思います。

それは、SNSやブログなどを利用できる
今の時代だからこそできることだと思います。

「だ~れのせいでもありゃしない」ですね。

この本を読むと、開き直ったような
勇気がわいてくるのです。

いや~本って、ホントっ出会いですね~。

(続きます)

15/03/19