失礼

僕は、他人の家にも
裸足で上がることを
35歳くらいまで
気にしたことがありませんでした。

靴下が苦手だったので、
基本、家の中では裸足でいることが多く、
職場でも裸足で仕事をすることが
僕にとっての普通でした。

35歳の頃に、友人の新居に
遊びに行った際に、
それが普通でないこと、
他人の領域に裸足で入ることが
失礼になることを知ったのです。

相手がどんな気持ちになるか、
知っていたつもりなだけで
気づいた、という方が
正しいかもしれません。

以降、他人の家に上がる時は
気をつけるようにしています。

音楽でも、少し似た体験があります。

小さい頃から何十年も練習してきた
音楽家の人の領域に裸足で入っていき、
こちらは知識も練習もない状態で、
僕の知っている音だけを並べて
演奏させてもらう、なんてことを
よくしていました。

これも、相手がどんな演奏家なのか、
知らないわけではありません。

僕みたいな素人よりも厄介な
なんちゃって音楽家みたいな人間が
すごい努力を積み重ねてきた方に
「一緒にやりましょう」なんていうことが
失礼であることは知っています。

若い頃は気づかなかったですが、
中年になった今は気付けます。

けど、気づいたら何もできなくなる。

だから、気づかないフリをする。
もしくは、気づけなくなるくらい、
自分の頭を自分のやりたいでいっぱいにする。

そうやって夢中になった状態で、
本物の音を出す音楽家の方に
会いに行ってきました。

そして本物の音を間近で
聴かせていただきました。
体で浴びました。

終わってから、
また失礼なことやっちゃった、
と反省する気持ちもありつつ、
これを失礼で終わらせないために、
僕は本気でこの方と一緒に
演奏できるように頑張ろうと思いました。

練習をもっともっと頑張ります。

今日も来てくれてありがとうございます。やりたいことがあったら、初級編からじゃなくて、いきなり上級編から始めてみると、その差を埋めようとして頑張れる。耳コピってそういうものだと思うし、そこから逆引きみたいに初級編を学ぶと身についていく、語学を通して、そんな気がしています。

25/10/03