岡本一宣プレイ

僕が最初に就いた職業は、エディトリアルデザイナーというお仕事でした。在籍したのは一年程度でしたが、デザインのお仕事の中でも、雑誌や書籍のデザインを手掛けるこのお仕事につけたことは、とてもよかったと思っています。まず、デザインに必要な「情報の整理」が身に付きました。今となっては情報化社会の中のデザインにおいて情報の整理がどれほど大切かを身をもって体感しています。この概念をインプットできたのは、岡本一宣さんという存在に触れることができたからだと思っています。エディトリアルデザイナーの巨匠なのですが、職業柄こういう方の名前が表に出ることはあまりありません。奇抜なデザインや、主張し過ぎるデザインとは違う、情報を整理した「心地よい」を追及したデザイン。岡本一宣さんのデザインは、まさに歯車の中のキャラ設定が確立されたプレイだっと思います。そしてそれを裏付ける作品の圧倒的な数。90年代のスノーピークの雑誌まで手掛けられていたのですね。あの頃は書籍を通してでしか情報を得ることができませんでしたが、久しぶりにインターネットで調べてみたら、岡本一宣さんの作品の多さに改めて脱帽ものでした。「芸術は醸造だ」をずっと実践されてきている方なんだと、そして僕もこうありたいなと思いました。
今日も来てくれてありがとうございます。自分の原点を振り返ってみると、キュンとしますね。7月は僕の生まれた月です。過去の自分の想いに触れながら、またひとつ歳を重ねようと思います。

16/07/01