おはようございます。
とうとう20話にまでなりましたヤッホーサイクリング。
秋晴れに誘われて、荒川まで行ってきました。
荒川区は綾瀬に潜む、
僕に自転車のあれこれを教授していただいた
ミスター村山氏に会うためです。
氏には僕が自転車にのめり込む種をたくさん、
仕事中にばらまいた責任がありますので、
ひとつの区切りとして登場していただきました。
デザイナーとカメラマンという関係からや、人生の先輩として、
いつも共感や目から鱗の教えをいただくことがたくさんありますが、
本日はどんなお話が聞けるのか(どんな酒がのめるのかうひひ)。
ミカシマのハーフクリップをつけていただき、
リタノフのメンテナンスやクリーニングまでしていただき、
対談が始まりました。
途中で居酒屋に移行しながら、
おいしいつまみと話を絡めながら夜は更けていきます。
村山氏 : 今日は遠いところをようこそ。
宗 村 : いえいえ。ハーフクリップ買ってもらって、付けてもらって。
ギアのキリキリ音も取っていただいて大満足です。
ちなみに今日は『ヤッホー』を一時閉店しようと思ってまして
ひとつの記念として対談形式にしようと思い立った訳で。。。
村山氏 : あ、やめるの?僕も全話読みましたよ。
宗 村 : いや、ま、冬だし。ちょっと作文にも息切れしてきたし。。。
村山氏 : 飛ばすからだよ!(笑)
宗 村 : ま、肩の力が入っていたのは否めませんが。。
村山氏 : どうする?ビール行っちゃう?まだ自転車に乗り足らない?
宗 村 : ビールにしませう。。。
向かったのは綾瀬駅。
駅ガード下に知る人ぞ知る間違いなしの居酒屋に突入しました。
お店の名前は「波止場」
名前の通り、旬の鮮魚が目ん玉飛び出るほどのロープライスでボリュームたっぷり!
ほっぺたがぼたぼた落ちました。
新宿から綾瀬までは大体20km。
初めての道で緊張もしていたのかビールが喉を鳴らします。
飲んでしまっては自転車で帰れないので、
持参した輪行バックにタイヤをばらして押し込んで、
それでも危ないということで先っぽを段ボールで補強していただきました。
これで電車で帰る作戦です。
輪行といいます。
村山氏 : ところで会ったら話そうと思ってたんだけど。。。
二話目のペダルの方向が逆って話、アレかたっぽだけじゃない?
宗 村 : あーどうでしょ?
僕は結局店員さんに外してもらって、
作業の脇から世間話程度に話してただけだから。
そんなにくわしくきかなかったですね。
そういえば「締まる」理屈から言うとそうですね。
村山氏 : ほらね。よく読んでるでしょ?(笑)
宗 村 : 確かに(笑)
と、まああんまり考えていない割に始めたヤッホーですので
知っている人からすればところどころ穴はたっぷりあるんだろうな、
と思いながら。
村山氏 : 情報は受け手の角度でいろんな見方ができるから。
逆に言えばいろんな方法がある。
発信する側の都合のいいように
受け手が勝手に解釈していくような見せ方だってできるしね。
『AとBとCの話をするとして一番最後に話した
Cのことが一番印象に残る』とか。
11月から始まった自転車の一斉取り締まりだって
ちょっと眉唾物だと僕は思ってるし。。
たしかに今はマナーが悪いという情報が大きく取り上げていますが
この先どういう方向性になるかわかりません。
道路の再構築となればそこに甘い蜜を見つける輩はかならずでてくるでしょう。
源流を見つけた側の情報操作だって考えられますが、
そこにビジネスチャンスが隠れてるって面ももちろんあります。
「裏」が全部悪いことと思いがちですが、
要はニーズを自分たちで作っちゃってる訳ですから。
反面教師として得られる「学び」がそこにはあるような気がします。
村山氏 : たしかに仕事もレギュラーの仕事になればなるほど
マンネリに傾きがちな部分があったりして、
依頼する側の、制作やら営業やら立場が違うと考え方は変わるし、
今までの関係ではなかなか新しいもの、壊せないものがあるから
デザインやら写真やら発注する先を
『いっそのこと全部変えちゃえ』って
簡単に答えを出してしまう気持ちも分かる。
宗 村 : そうですね。
ですけど僕もさんざん営業には行きますが
なかなか新しい仕事としてくださる方は少ないですね。
村山氏 : 何を欲しているか、何を求められているかっていうのが
非常に重要だと僕は考えているんですよ。
さらにそういうところから一歩進んで
こちらからの提案までいきたいよね。
宗 村 : なるほど~。
その考え方から見ると自分の写真の売り込み方だったり、
身近なライフスタイルだったりいろんなところでその考え方は成り立つし、
考えれば考えるほど理想の形のような気がしてきました。
村山氏 : まだまだ教わりたいならうちで夜を明かしますか?
宗 村 : 名残惜しいですが、、、
結構です(笑)
温かい家庭が待ってるので。。。
考え方が変わらなければ
こうしてプライベートで仕事上の知人と会って話をすることも
今までの自分には無かったし、
仕事に前向きに取り組んだり、
考え方を否定されても腐らずに次に進もうと思ったりも出来ませんでした。
と書くと前はどんな人間だったんだとなりますが。
こんなにすばらしい自転車との出会いを与えてくれた
村山氏にはとても感謝しておりますが、
あしたも朝が早いので本日はこれまで。
おやすみなさい。
対談会場:居酒屋「波止場」
ムエタイ居酒屋「オーエンジャイ」
あとがきに添えて
<宗村亜登武のほんとであい>
『海馬~脳は疲れない~』池谷裕二著
この本は著者の脳科学の見識から、
クリエイター糸井重里がふわっと思ったことに、
論理的に、科学的に、その思い(想い)について
二人で話題を広げていきます。
サブタイトルの「脳は疲れない」について説明すると、
脳は常に動いていて心臓や内臓器官、筋肉や神経伝達等、
本人が意識していないところでも
その制御をするために46時中働いている。死ぬまで。
なので他の筋肉や細胞と違い疲労がない、いつも元気いっぱいという訳です。
つまり「頭を使いすぎて疲れた」は言い間違いで「目」が疲れているだけ。
「頭を休めなきゃ」も本当は
「外界の情報を遮断して得た情報を整理しなきゃ」となります。
それが睡眠という行為です。
脳を休める(止める)ということは死ぬということです。
まず第一章で一番に引かれた文章は「30歳から頭が良くなる」というところ。
「頭が良い」つまり「頭の働き方が経験に基づいて効率的に、かつ飛躍的に伸びる」
ということです。
その伸び率は2の何乗といった具合にべらぼうに伸びる。
30代から自分の引き出しの全く別の物同士をつなげるのが
とてもうまくなるというのです。
20代までは知識と経験を頭の中に集めていくことの方が得意で、
さまざまな情報をつなげるのは苦手だからといいます。
たしかに昔の自分は頭でっかちというか、
聞いたことをそのまま人に話すということが多かったような。
結果、経験が伴わない、詰め込んだだけの感想となるので、
話の中身が軽く、話が続いていかないということが多々ありました。
30歳を迎えた今年、
ちょうど30の分岐点でロードバイクに乗り始めました。
昔から自転車が出てくる漫画や主人公が自転車乗りのアニメ等見ていて、
知識は人よりもありました。
もちろん興味もありましたがては出さなかった。
出せないと思っていました。
「自転車は高い」「体力が無いし興味が続かないかもしれない」
「格好が大げさな気がする」とか
くるりの「ハイウェイ」の歌詞じゃないけど理由は100個ぐらいあって、
どれも始めた今となっては
本当の理由なんて一つもない感じでした。
本当に「始めない」理由なんて無かったんですよね。
そして今、経験として毎日自転車に乗っています。
始めてから意識が広がったと箇条書きに出来る(言葉にできる)ことだけでも、
季節、天候に敏感になった。
風景、町並みに敏感になった。
歩行者や自転車、自動車など他者の行動に敏感になった。
と、歩いているときに比べて道を走るという行為だけでも
感覚が敏感になりました。
その他にも目を向けるところが少しずつ増えてきて、
つまり、より脳を働かせている。
それが起爆になったのか証明は出来ませんが、
時期を同じくして、考えがまとまる瞬間や
理解を求める時のたとえがすぐ出てきたり
といったことが多くなった気がします。
友人が始めた「おはよう学級」というサイトで
「ヤッホーサイクリング」という枠を頂き、
自転車にまつわる文章を書き始めてから
さらにその「脳がうまく働いた」瞬間を如実に感じます。
いまもこんな文章を長々と書いていますが、
昔はこんなに長い文章を書けませんでした。
話文というか、内容もぶつぶつ切れるし、
仕舞いには何を言いたかったのかまとめることも出来ずじまい。
散文や一言は昔からものすごく得意なのに、
それらを広げて言い表したり、掘り下げたり、つなげることが出来なかった。
そしてロードバイクをはじめた時期を同じくして始まった「おはよう学級」で
級長である市川圭君が剣玉を始めたり一人ディスクジョッキーをやったり、
家族(とりわけ息子)との日々を様々な表現方法で紹介したりするのを見て、
それもやはり刺激になりました。
毎日一言、級長が感じたことも載せている訳ですが、
こんなに一人の人間の一日一日の
「考えてること、感じたこと」を見れることってそうはありません。
それだけでもものすごい贅沢なサイトであると感じています。
(ツイッターやソーシャルネットワークでは、
なんとなく発信の仕方が「ていねい」では無い感がありますし。)
そしてそこでの趣旨は一貫して「おはよう=ポジティブ」なことについて。
『海馬』に論理的に説明がされていましたが、
級長がたびたび口にする「目線を変える」「視点を変える」
「価値観を変える」それを意識的に努力することは
頭を良くする(脳をうまく活性化させる)には最良の手段であるということです。
ここで話される「頭が良い」というのは、
博識であったり、お勉強ができることではなく、
大まかにいうと、人から惹かれる魅力的な思考ができるということです。
そもそも市川圭君という人物は
もともと多くの人から惹かれる魅力的な人間であった訳で、
この「おはよう学級」に行き着いたのには『海馬』を読んでさらに合点がいきました。
そもそもが「おはよう学級」的な人間だったのだと。
そしてそこに参加できるようになった僕も
人間的な成長をやっぱりしているんだと
自分に証明出来たと思っています。
最終章で話されたことも深く心に刻まれました。
僕がこれからどんな人間になりたいか、何を得たいか。
それには今の自分という限界や鎖は無く、
なりたいとどれぐらい思うかと解釈しました。
やりたいこと、疑問に思っていること、
証明したいことなど自分の欲求をとにかく口にすることは、
人間を研究するコミュニティでは常識になりつつあるということです。
言葉にすることのダークサイドとして
「固定観念」が生まれる可能性もありますが、
2011年11月10日(あ、もう11日だ)の時点で
僕がやりたいこと、目指すところを勇気を出してここに刻もうと思います。
とてもプライベートなことでもある訳ですが、
自分の仕事として来年中に三倍の売り上げをあげる。
仕事とは違うスタンスで写真を撮ることを習慣づける。
カメラをなるべく持つ。
文章をなるべく書く。いろんなことを書く。思ったことを形に残す。
家事をきちんとする。丁寧に物事を行う。
メールは早く返信する。要求にはなるべく早く答える。
こういう風に箇条書きしてみて、改めて思うことがあります。
僕は人に必要とされる人間になりたいんです。
会社や家族や友人や赤の他人まで。
いなくなっても、連絡が途絶えても誰からも惜しまれないことが怖いんです。
ああ、まったくそうなんだ。
そして恐怖に思う、死を連想し回避させること、
生きるためにこそ、脳はフル稼働するということも
『海馬』には書いてありました。
毎日、明日からの自分が楽しみです。
やることがいま、泉のように出てきています。
こうやって人生が楽しくなっていくんでしょうか。
高杉晋作の死に際の言葉で、
「面白きことも無き世を面白く」(面白くない世の中を面白くしたい)
が昔からとても惹かれていて、僕の大好きな言葉なのですが、
『海馬』を読んで好きな理由を知る以前から、
僕の魂は理解していたということでしょう。
そばについて最期を看取った野村望東尼が後に言葉をつなげます。
「住みなすものは心なりけり」
(その人の心がけ次第で面白く生きることが出来る)
「おもしろいなぁ」とつぶやき、高杉晋作はその激動の人生に幕を閉じます。
20回と続けたヤッホーサイクリングは
冬になりましたので一旦閉店といたします。
春になり、ご要望がありましたらば再開するつもりです。
(自転車は乗り続けますよ)
それでは、長々とご清聴ありがとうございました。
みなさん、面白い人生を送りましょう。
悔いの無い人生を。
やっほー。
2011/11/10 十日町に住む友人のギター(ユーチューブ)を聞きながら
宗村
11/11/11