~隠居大学~

 

今でもあの感触を覚えているんです。
最終回、何点差かを追いかける一死一・二塁という場面で打順が僕に回ってきて、
中学生の時の野球部での最後の打席でした。

応 援 : お前つなげよー!

       打てる打てる!

       落ち着けよー!!

昔の僕 : あわわわ、、この場面、
       ここまで通算ほぼノーヒットの僕、、、

       最後の最後、ここはやっぱり代打とかじゃないのか?

監 督 : ケイ!

       お前が見えないところで素振りをしてきたのをおれは知ってる!
       だからお前なら打てる!!
       リラックスして行け!!

昔の僕 : おーし!

       素振りのイメージ、素振りのイメージ、、

審 判 : ストライク!

昔の僕 : カーブ!?
       俺カーブを練習でも打てたことない!!

監 督 : ケイ!!
       いけ!!

昔の僕 : なぬっ!
       ダジャレ!?
       送りバントのサインなし!?

審 判 : ボール!

昔の僕 : でも漫画読んでたときはカーブを打てるイメージがあったんだ。
        漫画のイメージ漫画のイメージ、、、

応 援 : 落ち着けよ!!!

(そのとき三塁コーチをつとめていた、出番もなく終わるかもしれないチームメイトに目が行った)

なんだかそっから頭の中が真っ白になって
たしか見送ればボールになるストレートに
フルスイングというより、ボールにあてにいったようなスイングで、
感触は今でも覚えている。バットの芯にあたってショートの上を打球が飛んでいったんです。

中学生の野球生活でおそらく初めてのヒット。

けど、惜しくもその後のバッターが倒れて試合終了。
僕の野球人生はこうして幕を閉じたのでした。

忘れもしないあのときの真っ白なかんじ。
不眠症な僕はなかなか寝付けないときに
考えて考えて、考えすぎて疲れてだんだん真っ白になって
気づいたら寝てるっていう、あのかんじにちょっと近いのかな?

「力を抜く」というのはコレ
人生においてすごく大切なことではないかと今でも思います。

どんなにすごいアスリートでも、本番の直前まで練習はもちろん、気持ちも高めて、
本番をリラックスした状態で迎えるとよく聞きます。

力を抜いて自分をコントロールするっていうのは
熟練した経験と技が必要らしいのですが、
それを楽しんでやっている人たちに出会いました。

「隠居大学 よく遊びよく学べ」
天野祐吉

横尾忠則さん、赤瀬川原平さん、谷川俊太郎さん他、
この本に登場する方々はみなさん素敵な隠居生活を送っている方ばかり。

力を抜いて自分をコントロールするのに老人は大変重要な要素であると
本の中で赤瀬川原平さんがおっしゃっていました。

あらゆることが合理化、単純化される現代において、
うまく力を抜きながら自分をコントロールすることの大切さを唱えていたところには
すごく共感できました。

合理主義、効率主義の中で、価値というか位置づけをなくした老人たち。
役に立たないことにこそ人間的な面白さがあるのではとおっしゃっていました。
そんな中での今回の心躍るヒット賞は

「マイナスといわれる価値を転換する」

でした。

今回生まれて初めて自分の手で買った本ということで、
内容も素晴らしかったので、この一冊は僕のバイブルとなるでしょう。

そして「隠居大学」という「隠居=ポジティブ」、
まるでおはよう学級の「おはよう=ポジティブ」のような
この取り組み図がもうズキュンときまくって、
この学級も楽しみながら続けていきたいと思います。

いや~本って、ホントっ出会いですね~。
(続きます)

11/11/19