かわらない わからない

世紀末、東京港区青山にあるクラブに
僕は友人といた。

ダンスフロアにいる数十人のお客が
レコードをかけるDJの方を向いて
踊っている様子を、
僕は二階から見ていた。

僕を誘ってくれた友人は同じ高校出身で
一緒に上京したばかりだけれど、
年の離れたお兄さんがいて
理系で頭がよかった。

その状況を冷静に分析するかのように
DJブースの中身を
二階から覗いていた。

文系をろくに勉強しなかった
夢見がちで長男の僕は、
友人の姿のカウンターからなのか、
DJブースの中を覗かなかった。

覗きたくなかった。

後日、友人は
ターンテーブルを2台、
そしてミキサーを購入した。

僕は、バンドマンだったので、
マルチチャンネルのミキサーを
1台だけ購入した。

友人はターンテーブルとミキサーセットで
十数万円で購入していたけれど、
僕はミキサー一台で十万円くらいした。
けっこうお高い品物だった。

肝心のレコードを購入するのは
もう少しあとのことだった。

つづく

今日も来てくれてありがとうございます。チャリ通をすると、文章を書きたい熱がたまにやってくるので、思いついたら書き溜めていこうと思います。

20/12/16