わからなかったもの

最初に就職した会社は
エディトリアルデザインの会社だった。

マンションの一室にある事務所で
ビッグダディみたいな顔をした
デザイナーの社長のもとで、
一年だけだけど、僕はそこで修行した。

当時はデジカメで撮った画像を
アップロードするのに数分かかって
アップロード途中に回線が切れたりして
ドキドキイライラしていた
インターネットで「検索」なんていう
概念はそこまで浸透していなかった。

情報は紙の中にあった。
テレビで放送されることも
印刷された紙の中から
取り上げられることが多かった時代。

つまり、わからなかったものの答えが
情報の中にあり、
その情報の発信源をたどると、
紙媒体の中にあるのだと
このころ知った。

学習本、ゲームの攻略本、同人誌など
幅広く扱うその職場で
僕は情報を整理するデザインを学んだ。

先輩のデザイナーの席には
山積みにされた洋書があり、
たまにそれを見せてくれた。

見たこともないバランスで
デザインされた雑誌や本。
それを日本流に解釈した
日本の雑誌。

エディトリアルデザインの世界では
電卓をつかって、余白や文字の大きさを
すべて数値化して配置する。

情報が体にしみついていく。
怖い顔をした社長からは褒められ
クライアントの担当者にも切りいられて
僕をモデルにしたキャラクターまで
学習本の中につくってもらった。

けれど、
僕は一年後逃げるように仕事を辞めて
中国へ行った。

僕はわからないものが好きみたいだ。

今日も来てくれてありがとうございます。今は情報はインターネットの中にある。けど、ありすぎる。そこでの情報のインプットの仕方ってどうやって育んでいるんだろう。子供たちを見ているととても興味あります。

20/12/19