~インターネット的~

 

昔、友人たちが「素人展」という展示会をやりました。
僕は、友人ということをさておき、「素人」という言葉に敏感なので
友達を連れて展示会に乗り込んだ記憶があります。

お笑いが好きな友人がいました。
お笑い芸人さんがTVで「芸人」と「素人」という表現をよく使います。
僕は、その友人に「スーパー素人になろう」と居酒屋で告げたことがあります。

上京してダンスミュージックに出会った頃、
「DJ」と「フロア」、そして「トラックメイカー」の存在を知りました。
このとき初めて、「素人」を活かせる場所を見出すことができたのです。

「素人」とは、つまり「消費者」のことです。

昨日まで、フロアで踊っていた彼が、
今日はDJとして音楽をかけていたんです。
フロアの中に、後ろの方でニヤリと微笑む
トラックメイカーがいたんです。

僕は、「クラブ」という空間が
クリエイティブな空気でいっぱいだったことに
とても感動したのを覚えています。
というか、体に染み付きました。

「だれでもできるじゃん」という言葉が
嫌ではなくなったのがこの頃です。

むしろ、「だれでもできるからさ!」と
僕はそっちの世界へ、
同じ「素人」たちを引きずり込もうとしていました。

あれから時はたち、
僕も歳を重ね、家庭をつくり、子供がうまれ、
仕事と、社会と、少し真剣に向き合おうとしたときに
僕はほぼ日に出合い、そして一冊の本に出会いました。

  インターネット的
  糸井重里

僕が今の会社、
EC(イーコーマス)のお仕事を選んだ理由、
それはもう、「ほぼ日」のような仕事をしたかったからです。

この本には、ECをやる上だけでなく、
これからの時代を生きる上で
大切なことがたくさん書かれていました。

「ほぼ日のような仕事」や「これからの時代を生きる上で大切なこと」とは
僕がダンスミュージックで体感した
「消費にどれだけクリエイティブになれるか」
ということだと思うんです。

情報を扱うデザインをする上で、
大切なのは消費すること。

それは、コピーを生み出すために
まず消費して、ユーザー目線でない、
自分目線でコピーを作り出す糸井さんの言葉だから
なおさら突き刺さる。

そんなわけで、今回の心躍るヒット賞は

   情報農家のおらたちは、
   けっこう肉体仕事をしているというのが
   現実ですだよ

でした。

自分の価値を最終的に創るのは
情報でも、サービスでも、大切な人でもない。
自分の体で体感したもの。

一人称の大切さを
この本から学びました。

いや~本って、ホントっ出会いですね~。

(続きます)

14/05/06