〜鈍行列車の旅 その6〜

 

後閑駅で登山客とお別れすると、
車内はスッカラカンに。

すると、さっきまで全然気付かなかったけど、
東京から来たような女子大生でしょうか、
おそらくGWに温泉にでも行くのでしょう。
ギャルのような喋り方の4人組の声が車内を占領します。

「見て見て!川だよ、すごくない?」
「えー、なんかあの川怖くない?」
「ホントだ~、川がある!」
「川、遊べるかな~?」

なんだかさっきまでの登山客とのお話の後に聞こえてくる
この言葉たちがまるで不協和音のように
窓の外に広がる美しい渓谷と作り出す時間が
しばし僕の中のツボにはまり
窓の外を眺めながらニヤニヤしていました。

そんなことをしているうちに列車は水上駅に到着します。
パスモはここまで。
一度駅を降りて、再度切符を購入しなければいけません。

っということに気付いたのは、
水上駅で20分ほどの乗り換えの待ち時間があったので、
駅前でお土産でも買おうと思って外に出るときに
駅員さんに教えてもらったのでした。

他の東京から来た、先ほどのギャルたちもふくめた人たちは、
パスモの精算をすることができず、
後ほど、車内で一悶着起こしていたようでした。

さて、水上駅は快晴です。
ちょうど桜も満開で、突然暖かくなった日差しに
そこら中から雪解け水の音が聞こえてきます。

水上駅には思い出があって、
たしか10年前くらいでしたか、
東京に出て初めて親にお土産を買って帰ったとき、
お土産を購入したのが、水上の石鹸でした。

お土産屋さんにはお饅頭がずらりと並んでいるのに、
今思い返すと、何故に石鹸だったのか、、、
そう、思いながらお饅頭を購入しました。

それにしてもいい天気。
時間は、まだ10時ちかく。
そこで目に入ってきたのが、
水上の地ビール。

時間よとまれ。

そんなことを思いながら
駅前のベンチで一杯なんてやっていたら
出発の時間が近づいてきました。

急いで駅にもどると、
向いのホームにはすでに長岡駅の列車が到着していました。
列車に乗り込むと同時に扉はしまり、
長岡駅行きの列車は新潟県へと入っていくのでした。

(時間は続きます)

12/05/06