〜鈍行列車の旅 その4〜

 

電車は高崎から水上へ向かいます。

むかいに座る親子の話に耳を傾けてみました。
「もしからしたら気球に乗れるかもしれない」
と聞こえてきたから。

どうやらこの親子は新前橋駅から少し離れたところで行われる催し物へ行くらしい。
同級生の子たちとそこで待ち合わせをしているようでした。

そうか、今日からGWだ。
確かにこの列車の中には帰省のために鈍行列車を利用している人は
殆どいないんだろうなぁ、
そんな楽しそうな雰囲気が車内に漂っていました。

その中で逆に「あなたどちらさま?」状態の僕。

あまりにも気持ちいい窓の外から入る風。
菜の花が線路沿いに続く様を眺めながら
時より微笑む窓に映る自分を見たときに
フリーズしそうになった。。

   何か喋らないまでも僕も心を開こう。

そう思った僕は足を組むのをやめて
通路側に体を少し傾けてみました。

その矢先、新前橋駅に到着したので、
向かいに座っていた親子は降りて
なんだかタイミングを逃したような気分に。

仕方ないと思い、隣に座る5人組の登山客の話に耳を傾けてみると、
どうやら横浜や千葉、東京から集まる
40~60代くらいの山登り仲間らしいことが判明。

地図を広げて、あの山があーだの、こーだの盛り上がる
お隣さんの楽しそうな会話を聞きながら、
窓の外に広がる菜の花を思わず写真におさめまくる僕。

向こうも異色を放つ僕が気になるようで
何かお互いきっかけを待っているような時間がしばらく続きます。

嫌な間ではないんです。
だって外は本当に美しい田舎風景が広がっていたから。

それでも、その間を埋めるかのように、
大きめのスズメバチが突然、
電車の中に舞い込んできたのでした。

(時間は続きます)

12/05/02