「いいな、みんな病院行かなくて」
待合室でPちゃんと同い年くらいの女の子が窓の外を見ながらつぶやきました。
漫画本がいっぱい置いてあるので、夢中になって漫画を読んでいた僕は
はっとさせられました。
時計は午前九時をまわったところ。
いつもなら会社でパソコンに向かっている時間。
僕は今病院にいるんです。
大泉学園にある藤沢皮膚科に。
自分の身体と向き合うために。
「時間がもったいない」
「すぐに治る」
何よりも「遊びたい」、
僕もそう思っていたから、
小さな女の子がつぶやいた言葉は
僕に「ええんやな?」
と、投げかけているかのようでした。
院内に張られている脱ステロイドについて書かれた張り紙、
待合室が広々ととられていて、
金曜日の朝から多くの人でいっぱいな様子を見ていると、
改めて、覚悟のいる選択をしているんだと自分に戒めるのでした。
そして僕の名前がアナウンスされ、
30歳を過ぎた僕は、
自分の身体と向き合うことに
ある種の正義感みたいものを抱きながら
診療室へと入っていくのでした。
(続きます)
12/03/14