パーツを組み合わせて何十万もかけて作った自作のパソコンを前にして、「ホームページの作り方」という分厚い本を片手にインターネットをアクセスしている。20世紀が終わろうとしている今、僕は20歳になる。使命のようなものを勝手に感じながら僕は自分をプロデュースしようとしていた。絵を描いたり、音楽を作ったりするのが得意な僕は、これからはグローバルだ!ということで、親を説得して駅前留学にも通わせてもらった。
駅前留学には先生とのマンツーマンのプライベートレッスンと、複数人で話し合うグループレッスンがある。会費は月謝制で、プライベートレッスンの方が割高になっていて、グループレッスンよりも月に受講できるレッスン数が少なくなる仕組みだ。けれど、僕は自分の独特な世界観を世界の特定の人に知ってもらいたいという明確な目標があったので、初めからプライベートレッスンを選んだ。初めて受けたレッスンの先生はオーストラリア人だった。英語=外人という多くの日本人が抱く「欧米」というイメージを、その先生は初回から崩してくれた。英語にはアメリカ英語とイギリス英語があることを、オーストラリアというどちらでもない国に住んでいた先生が教えてくれた。オーストラリアはイギリスの植民地だった歴史があるので、イギリス英語をひいき目で教えてくれていたけれど。僕はとくに自己紹介についての英語を知りたかったけれど、そのためには僕のことをきちんと説明する必要があった。けれど、僕はそこで躊躇してしまった。作品を見せることを恥ずかしいと思ったのだ。すると先生は「シャイはダメよ」と片言の日本語で教えてくれた。僕は改心して、自分の作品を見せて拙い英語で必死に伝えようとした。すると先生は笑顔で僕にたくさんの英語を教えてくれた。
その先生とは仲良くなり、レッスン外のプライベートでも会う機会が増えていった。ある時、先生に僕の友人を紹介した。僕の友達の中でもすごく奥ゆかしくて、「日本人らしい」印象の友人だった。その友人と一緒に食べに行ったレストランで、先生は「勉強になりました」とお辞儀をしてくれた。
今日も来てくれてありがとうございます。大晦日も晴れ。平成最後の大晦日。僕も過去のことを想い返しながら未来の本、落合陽一さんの本を読んでいます。みなさまよいお年を。
18/12/31