動機

サービス残業、休日出勤、気付けば会社には自分ひとり。終電の時間を過ぎても、自転車通勤だから大丈夫。そんなことを考えながら、コーヒーを片手に窓の外の夜景を眺める。「仕事は仕事、遊びは遊び」なんて言っていたのはいつのことだっけ?はて、こまった。困ったことに仕事が楽しい。今の職場に身を置いて5年目になるけれど、ここ1,2年とくにそれを感じる僕は37歳になりました。

僕の勤める職場には上下関係がありません。といっても、管理する人は必要で、年齢的にも相応な立場になってきました。ちょっと前までは、「何を言っているのかわからない」と突っぱねられてきた僕の発言に、熱心に耳を傾けようとしてくれる後輩ができました。これがうれしかった。けれど、どんな職場においても、これはごく普通の現象だと思ったのです。

自分の仕事が喜ばれる。まわりの同僚から感謝される。インターネットを介して、自分のつくったものが買われる、いいね!と言われる、シェアされる。これもまた、とてもうれしかった。けれど、SNSが普及する今の時代、これもごく普通の現象だと思いました。

「普通の現象」といえば、最近ドラマやドキュメンタリー、子供たち・家族・友人のさりげない一言にイチイチ感動するようになりました。マス向けにつくられた広告物にも、心が動かされてしまう。これも年齢的な「普通の現象」なのでしょうか。火が付きやすいお年頃、第二の思春期の到来?

図書館に通っていると、いろんなビジネス書に出会います。有名な人もいれば、それほど有名じゃない人もいます。みなさん30代の頃に書かれているものが多くて、これも「普通の現象」なんだなと感じさせられます。僕が多大な影響をうけた糸井重里さんも同じくらいの年に本を書いてらっしゃいます。共感できるものもあれば、僕はそうは思わないというものもあります。

そして、職場においての自分を思い出します。僕のお仕事に喜んでくれる人のことを思い出します。いちばんのきっかけは、コンサルティングをしている友人の相談にのってあげたときに、喜ばれたことでした。

お仕事の本を書いてみたい。

そんな感情が沸いてきました。30代になれば、誰もが通る「普通の現象」なのかもしれません。だからこそ、できるだけ早く、この感情が冷めないうちにカタチにしてみたい。そう思い立ち、お仕事が楽しいと思える今、やってみようと決断しました。広告業界の片隅に10年、小売りの現場に5年勤めている、しがないデザイナーによるお仕事の本。手に取って喜んでいただけたらうれしいです。

今日も来てくれてありがとうございます。本を書くことに決めました。メラメラ。

16/09/03