~最後の冒険家~

 

僕の人生に「冒険」という概念がありませんでした。
もっと言うと「旅」にもそんなに興味がなかった。

だから?ギャンブルにはすごく抵抗感があるし、
一攫千金なんてのは遠い国の言葉だと思っていました。

だってそういう時代でしたもんね。
バブル崩壊後の90年代の世紀末な音楽にどっぷりとつかって
自分たちの価値観をみつけて21世紀を歩き始めた。

「ミックス」ていう言葉がまさに僕の中に入ってきて
DJがとにかく楽しかったし、
気付けばデザインや仕事でも「コピー&ペースト」で
紙面を構成していました。

僕が身を置いていた音楽やデザインの分野では
「出尽くした感」を無意識に感じていたのだと振り返ります。

冒険に例えるとまさに
地図の空白がなくなった状態で、
地理的な冒険や探検といった行為は、
時間がたつにつれてどんどん不可能になってきている。
ということに共感できるのです。

それでも「冒険」に思いをめぐらせた
同世代の写真家が書いた本に出会うことができました。

最後の冒険家
石川直樹

高校時代にインド、ネパールをひとり旅して以来
世界中を旅しているという写真家の石川直樹さん。

冒険家とも言われる石川さんが偶然出会った
アマチュア熱気球冒険家の神田道夫さんによる
熱気球単独太平洋横断の試みについて書かれた本でした。

太平洋横断自体は世界初でないけれど、
神田道夫さんが挑戦する自作気球でおこなうという点では優れて実験的であり、
成功すれば世界初の試みになるという。

これまでの人類の歩みをして、
その隙間を見つけ、
自分なりの方法で空白をうめていく
という行為が大切だと。

今日の心躍るヒット賞は

   ジャーナリストの本多勝一氏は、冒険の条件として
   「命の危険性」と「行為の主体性」の二つをあげているが、
   近代の冒険は、その後者が重要なのだ。

でした。

きっと僕たちはこの感覚を持っていると思いました。
だってよく仕事をしているとあるじゃないですか。
ヒットした商品を真似ればヒットするのかって?
同じ目的に同じやり方でアプローチしても
きっと答えはNOですよね。

いろんな成功に対して
「自分なり」のやり方でアプローチすること。
それが仕事や行き方で大切なことであり、
「冒険」である。

それをわかりやすい言葉で表現できる石川直樹さんは
さすが糸井さんも太鼓判を押すほどの作家さんでもあるんだなと
惚れ惚れしました。

(いや、旅好きの観点でみると
もっとレベルの高いお話なんでしょうけどね。)

僕はこの本を読んで
「最後の冒険家」とタイトルにありますけど、
冒険家になりたいなって思いました。

中小企業にだってその可能性はある。
いや、中小企業だからこそできることがあるんだと。
なんか勇気がわいてきましたよ。

今度はじっくり写真集も見てみようっと。

いや~本って、ホントっ出会いですね~。

(続きます)

14/09/08