「暑いねー」
どこを歩いても聞こえてくる悲鳴。
汗かきでない僕も駅で電車を待っている間に
背中に汗が流れるのを感じた。
久しぶりに乗る西武新宿線の車内は
異常なくらい冷房がきいていたので
汗がぴたりととまった。
高田馬場から東西線に乗り換えて
九段下で半蔵門線に乗り換える。
昔、日雇いのバイトをしていたときに
よく利用していたルートだったので
懐かしかった。
とくにこのルートの地下鉄の車内は
何故だか妙に落ち着く。
下町感のような、懐かしさのような
地上を走る電車よりも人のぬくもりを感じる。
そのせいか、
冷房の効きをそれほど感じなかった。
到着したのは表参道。
駅で迎えてくれたのは少女時代。
週に2回も表参道にきたことになる。
名残惜しかったけれど、
今日は別の目的があるので
駅を降りて地上に出てみた。
外はものすごく暑かった。。
駅から10分ほどのところに目的地はある。
けれど、僕は重いレコードバックを持っていたので
ちょっと気がひけた。
ガンガン冷房のきくお店がたくさん並んでいるし、
車通りも多い駅の周辺から逃げるように
僕は一本裏道に入り込んだ。
すると一気に世界は変わった。
人がいない。
車もない。
お店もない。
小さなオフィスが点々とあったり
小学校、保育園があった。
そして大きな建物がないので
大通りでは感じることのない
風を感じることができた。
心地よい。
決して涼しいとはいえない風だったけれど、
本当に心地よかった。
気分をよくした僕は
コンビニで水分補給のために買った
缶ビールをあけた。
向こう側には根津美術館が見えるが
もう少し奥には六本木ヒルズがちらっと見える。
なんて静かなんだろう。
僕は青山が好きになりそうになっていた。
お目当ての場所が近づいてきた。
(続きます)
14/08/06